昨今では、遺伝子組み換え種子や種子法、種苗法の問題、オーガニック給食の話題など、食に対するムーブメントも広がっていますが、これに対して、私個人は賛同も反対も表明していません。
なぜなら、その両者の考え方には、それぞれ政治的・思想的な背景が強く影を落としており、両者の対立の構図に子ども達を巻き込むべきではないと考えているからです。
教育は、常に政治的イデオロギーから距離を取り、ニュートラルでフラットな立場で携わるべきというのが私の一貫した信条であり、公教育の場に携わるならなおさらです。
遺伝子組み換え種子の問題など今の食がいかに危険かという風潮も、子ども達に伝えることはありません。我が子を思う親心につけ入り、ことさらに不安を煽る言論はいかがなものでしょうか。
個人的には、これは扇動や洗脳に近い行為だとすら感じています。これらはいずれ、自分達で培った選択肢の引き出しの中から子ども達自身が自分の頭で考え、自分で選択することだと思います。
このため、私はガーデンでは「自然栽培」という手法を主に採り入れていますが、これはあくまでベースであり、農薬や肥料を使用する「慣行栽培」も「有機栽培」も、それぞれの特徴(長所/短所)を尊重し、必要に応じて使い分けています。
「慣行栽培」「有機栽培」「自然栽培」は地続きのグラデーションであり、各々が大切にしている手法や考え方はていねいに「分別」されるべきで、「どれも同じ」として十把一絡げに括ることは、「差別」するのと同じくらい乱暴な行為です。「分別」と「差別」は違います。
これは、自然栽培を追及してきたからこそ辿り着いた境地です。実際に、現場で汗する生産農家の方々は、どんな栽培方法であろうと関係なく、皆さん仲良く情報交換をしていますし、一人で「慣行栽培」「有機栽培」「自然栽培」を使い分けて並行して実践する農家もいます。そもそも壁など初めからないのです。
「農法で対立しないで」と言っている人こそ、ありもしない壁をあると思い込み、分断を生んでいることに自覚がありません。あっても自分の主義主張を今さら翻すことができず、都合のよい情報を集めて理論武装しているにすぎないのです。
現場を知らない人達の〝声の大きさ〟に惑わされないでいただきたいと思います。このような分断の世界からそろそろ脱却しましょう。
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